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「それにしても、どうやって時間を遡ったのかしら」 ルナが未来に帰ってから三日。歪み騒ぎが一段落して、本来の知識の旅の目的に取り掛かれるようになった。 写本を作るその休憩時間に、サミュエルは尋ねた。 「さあなあ。まず自分達の力なわけないんだから、魔術士に頼んだか、魔法大国時代の魔術がかかった物を手に入れてたか、どっちかだろ」 まだ塔に残っていたライカが答える。 「それより、なんで過去に送ったかだよ」 「確かにね……。ま、いっか。どうせ未来になれば分かるんだもんね。……あれ? そう言えば、あんたが最初にあたしのところに来た時の肩の傷! あれは何だったのよ」 ライカはすっかり治った肩を叩いて言った。 「ルナが現れた時、あの波紋みたいのがやっぱり現れてたんだけどさ。それに肩が触れたらスパッと切れたんだよ。それがあんまり切れ味よくて、最初気づかなくてよ。なんかおかしいなと思って見たら血に染まってるし、びっくりしたぜ、あん時は」 「なるほどね。よく出血多量で死ななかったわね」 サミュエルはお茶を飲み干すと、意地の悪い笑みを浮かべてライカに向き直った。 「ところでライカ? あたしに何か言うことないの?」 「えっ……」 ライカが言葉に詰まる。 「言うこと、ないんだ? ふぅーん」 無駄とは思いつつ、感謝の言葉の一つくらい出てこないもんかしら、この男は、と内心呟くサミュエルの前で、彼は何やら決意を固めたようだった。 「分かったよ!」 瞬時に顔を真っ赤に染めて、しかし今までにないほど真剣な顔で、ライカは言った。 「オレと結婚してくんねーか」 今度は、サミュエルが顔を赤らめる番だった。 |
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