SS・どんぐり ~五番街近郊・落日の森~
星屑角灯を手に入れて以来、夜限定の依頼が増えた。『夜行性だと思われてるんじゃないの?』 角灯から聞こえてくる笑い声に、やれやれと肩をすくめる。 今回の依頼は《光る団栗》の採取。昼間は普通の団栗と見分けがつかないらしい。「今夜も頼むよ、相棒…
ファンタジー小説 垂れ耳エルフと世界樹の街 小説
SS・秋灯
「どんな世界にも変わりものはいるもんさ」 通常なら青白く光るはずの蓄光鉱石ラズロライトだが、稀に暖色系の光を放つものが採れるらしい。「折角だから、色味を生かして仕立ててみた」「それでこの形なのか」 夕陽色に光る、かぼちゃ型角灯ランタン。 見…
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SS・星屑の街
そこは、まるで星屑が降り注いだような街だった。 淡い光を放つ街灯に照らされて、青く浮かび上がる坂の街。 街がそのまま星空に繋がっているような、そんな錯覚さえ覚えて、思わず「ここなら星に手が届きそうだ」なんて柄にもない言葉を口走れば、点灯夫…
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SS・巨蟹門
からくり時計が正午を告げる。 賑やかなファンファーレ、踊る人形達。そして最後に砂時計がくるりと回れば、お待ちかねの『開放時間』だ。 『門』をくぐって、異世界からの客人がやってくる。大きな荷物を背負った商人、黒猫を従えた魔女。鹿撃ち帽を被っ…
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SS・魔法街案内
魔法街ザナヴェスカ。北大陸の山間にひっそりと佇む小さな街は、知る人ぞ知る観光名所だ。 街の象徴でもある巨木《世界樹》は言うまでもなく、名品珍品が揃う《魔法道具街》や、古今東西の食料品が集まる露店街《胃袋》。 《星見の塔》で星の神秘に思いを…
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SS・あなたの傍に
『ねえ、あれが欲しいわ』 小さな手が指し示す先には、光る粒が詰まった小瓶。なんでも《極光の魔女》の新商品らしい。「こんなの買ってどうするつもりだ」『これがあれば、夜でも傍にいられるじゃない』 光の精は闇の中で存在することが出来ない。裏を返せ…
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SS・甘い星粒
ぽわん、という気の抜けた音とともに、部屋中に広がる甘い香り。「できましたわ~!」 喜びの声を上げる《極光の魔女》。満足げに見つめる大釜の中は何やらキラキラと光っている。「ハル君」「はい?」 振り返った少年の口に、ぽんと放り込まれた小さな粒…
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街案内:五番街
五番街は《世界樹の街》の中で最も細長い街です。魔法街ザナヴェスカの一角、《獅子門》広場から《巨蟹門》広場を繋ぐ《うわばみ通り》一帯のみが五番街と呼ばれ、魔術用品店や魔法薬店、魔法菓子店など、不思議なお店が軒を連ねています。 《うわばみ通り…
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SS・ほろほろ ~四番街・菓子屋《銀の匙》~
『食べられる雪が欲しいの。でも冷たいのは嫌よ』 王女の要求はいつだって謎かけのようだ。 ありきたりな氷菓子を出したところで、お気に召すとは思えない。 ならば。「ご所望の『食べられる雪』でございます」 口の中でほろほろと崩れるクッキーは、まる…
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SS・はなむけ ~三番街・カナン港~
旅立ちの朝は、雲ひとつない快晴だった。 大仰な見送りは断って、いつものように「行ってくる」とだけ告げて家を出る。 鞄を抱えて飛び立とうとした瞬間、潮風が髪を乱す。 はためく船の旗。舞い踊る色とりどりの花びら。 門出を祝してくれているようだ…
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SS・水の ~三番街・海岸~
雲海に慣れ親しんで育った身には、「水の海」というものに違和感を覚えてしまう。 寄せては返す青い波も、足下の砂をさらっていく塩辛い水も、何もかもが新鮮だ。「こういう『海』の方がありふれてると思うんだけどなあ」「世界は広いってことさ」 そう、…
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SS・巣立ちの夜
海風に花の香りが混じり出したら、カナン港が近い証だ。 大陸を繋ぐ貿易航路の中継地として賑わう港町カナン。断崖にへばりつくようにして形成された白壁の町並みに、色鮮やかな花々が映える。ようやく桟橋が見えてきたあたりで、頭上から声が降ってきた。…
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