眼鏡
「あっ……」 気づいた時には、もう遅かった。 足の裏から伝わってくる、金属とガラスのひやりとした感触。 そぉっと足を除けると、ブリッジの部分が割れて見事に真っ二つになった、無残な眼鏡が姿を現わす。「あちゃ……」 思わず頭を抱える。昨日、眠気…
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こころやさしきもの
窓の向こうの空が赤く染まっている。 時計が指し示すのは、午後六時過ぎ。 ボクは夕飯の支度をしながら、ボンヤリと外を眺めていた。 古びた平屋建ての一軒家。それがここ、ボクと姉さんの住む場所。両親を一年前に亡くして、天涯孤独になってしまった姉…
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魔法使いの七つ道具 ~見習い魔術士奮闘記~
1.大釜ぐつぐつ もくもく 魔女の大釜秘伝の薬の材料はなぁに?とかげのしっぽに バラの花芥子の実 グミの実 トンボの目玉隠し味には 赤子の涙通された部屋のど真ん中で煮え立っていたのは、大人用の風呂になりそうな大釜目に染みる湯気と鼻が曲がりそ…
お題挑戦 ファンタジー小説 伝説の卵神官シリーズ 小説 極光王国綺譚
登場人物紹介
ライラ・ロジーナ…北大陸アイシャスの北部にある小国「ライラ国」の王女。透けるような白い肌を讃えて《白亜の姫》と呼ばれることも。 後に父の後を継ぎ、二十代で女王に即位。ライラ七世を名乗る。徹底した合理主義と隙のない政治手腕から《氷雪の女王》《…
ファンタジー小説 伝説の卵神官シリーズ 極光王国綺譚
青息吐息
感情が目に見えたなら、きっと気持ちも伝わりやすいだろうに。 うっかりそんなことを口にしてしまったのがマズかった。「それは名案ね!」 俄然張り切ってしまったお師匠様が、『北の塔』一の凝り性と名高い『極光の魔女』に話を持ちかけたところで、もう…
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黒衣の理由
魔術士は黒衣、と決めつけられがちだが、実際のところ「魔術士の服は黒」などという決まりはない。 実際、《塔》に集う魔術士達はみな好きな色の長衣を着ているし、魔術士然とした長衣すら嫌がって、普段着で研究に励んでいる者もいる。「そういや、ししょ…
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残光・薄明かり
夕日が沈む頃になって、ようやく『彼女』は目を覚ます。 角灯の中で大きく伸びをし、夕日の残滓を纏って嬉しそうに笑う。『今日は良い天気だったわね。おかげでたっぷり力を溜め込めたわ』「そいつは上々。今夜はお前さんだけが頼りだからな」 本日の獲物…
ファンタジー小説 伝説の卵神官シリーズ 小説 極光王国綺譚
残光
夕日が沈む頃になって、ようやく『私』は目を覚ます。 角灯の中で大きく伸びをし、夕焼けを浴びて真っ赤に染まる相棒の髪にうっとりと目を細める。『今日はいい天気だったわね。おかげでたっぷり力を溜め込めたわ』「そいつは上々。今夜はお前さんだけが頼…
ファンタジー小説 伝説の卵神官シリーズ 小説 極光王国綺譚
永遠の微笑み
倉庫の大掃除中、ガラクタの山の向こうで微笑んでいたのは、黒髪の美女を描いた肖像画。 紫水晶を削り出したような双眸。雪花石膏の如き白く滑らかな肌。時代遅れの長衣すら魅力的に着こなして、挑戦的な微笑みを浮かべる美女には、何故か見覚えがあった。…
ファンタジー小説 伝説の卵神官シリーズ 小説 極光王国綺譚
あなたの傍に
『ねえ、あれが欲しいわ』 小さな手が指し示す先には、光る粒が詰まった小瓶。なんでも《極光の魔女》の新商品らしい。「こんなの買ってどうするつもりだ」『これがあれば、夜でも傍にいられるじゃない』 光の精は闇の中で存在することが出来ない。裏を返せ…
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甘い星粒
ぽわん、という気の抜けた音とともに、部屋中に広がる甘い香り。「できましたわ~!」 喜びの声を上げる《極光の魔女》。満足げに見つめる大釜の中は何やらキラキラと光っている。「ハル君」「はい?」 振り返った少年の口に、ぽんと放り込まれた小さな粒…
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記録
復活歴138年 四の月十二日 晴れ 今日、塔に新入りさんがやってきました。ライラ国の貴族、ヴァイス男爵家の三男レオンハルト・アルトゥール=ヴァイス君。年齢は14歳だそうです。金髪に青い瞳の、いかにも貴族然とした風貌の持ち主ですが、話してみる…
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