SS・地下一階 ~十番街・立入禁止地域~
崩れかけた階段を下りた先、立入禁止の地下一階には、旧文明のお宝が眠っているはずだった。 暗い通路を進み、幾つもの扉を潜り抜け――どこまで進んでも、無機質な空間のみ。 諦めかけた次の瞬間、通路の先に見えたのは、非常灯の下で咲く本物の『花』。…
垂れ耳エルフと世界樹の街 小説
SS・ステッキ ~五番街郊外・北の塔~
魔法使いの杖は、単なる補助なのだそうだ。「要するに集中するための道具なんだから、自分がこれだ、と思うものなら何でもいいのよ」 例えばほら、と懐から取り出したのは、事もあろうにステッキ型の飴細工。「えいっ!」 ひらりと振れば、飴の雨が降って…
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SS・月虹 ~五番街近郊・月虹峠~
依頼品の『虹水晶』を探し続けて数ヶ月。「月虹の根元を探すこった」 腕利きの鉱夫に教えられ、月虹がよく目撃される場所を探した。 虹の根元と思しき場所を掘り返して、なるほど、と膝を打つ。 地中からすう、と夜空に放たれる、色のない光。「月虹を生…
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SS・旬 ~五番街・菓子店《オ・ルカ》~
世界樹の街は街区ごとに季節が異なる。それはつまり、時期を見計らえば、異なる旬の食材をいっぺんに味わうことすら可能というわけだ。「だからって南瓜カボチャと西瓜すいかのケーキはどうなんだ」「夏と秋を同時に楽しめると思ったんだけどねえ」 旬が過…
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SS・うろこ雲 ~五番街・北端の丘~
空に浮かぶうろこ雲は、竜が通過したあとだという。 この時期になると各地の竜が一所に集まって、山の上で秘密の会合を行うのだ。 うろこ雲が出て数日後に必ず雨が降るのは、人目を避けるためらしい。「聞かれて困るような話なのかな?」「お見合いでもし…
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SS・どんぐり ~五番街近郊・落日の森~
星屑角灯を手に入れて以来、夜限定の依頼が増えた。『夜行性だと思われてるんじゃないの?』 角灯から聞こえてくる笑い声に、やれやれと肩をすくめる。 今回の依頼は《光る団栗》の採取。昼間は普通の団栗と見分けがつかないらしい。「今夜も頼むよ、相棒…
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SS・秋灯
「どんな世界にも変わりものはいるもんさ」 通常なら青白く光るはずの蓄光鉱石ラズロライトだが、稀に暖色系の光を放つものが採れるらしい。「折角だから、色味を生かして仕立ててみた」「それでこの形なのか」 夕陽色に光る、かぼちゃ型角灯ランタン。 見…
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SS・星屑の街
そこは、まるで星屑が降り注いだような街だった。 淡い光を放つ街灯に照らされて、青く浮かび上がる坂の街。 街がそのまま星空に繋がっているような、そんな錯覚さえ覚えて、思わず「ここなら星に手が届きそうだ」なんて柄にもない言葉を口走れば、点灯夫…
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SS・巨蟹門
からくり時計が正午を告げる。 賑やかなファンファーレ、踊る人形達。そして最後に砂時計がくるりと回れば、お待ちかねの『開放時間』だ。 『門』をくぐって、異世界からの客人がやってくる。大きな荷物を背負った商人、黒猫を従えた魔女。鹿撃ち帽を被っ…
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SS・魔法街案内
魔法街ザナヴェスカ。北大陸の山間にひっそりと佇む小さな街は、知る人ぞ知る観光名所だ。 街の象徴でもある巨木《世界樹》は言うまでもなく、名品珍品が揃う《魔法道具街》や、古今東西の食料品が集まる露店街《胃袋》。 《星見の塔》で星の神秘に思いを…
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SS・あなたの傍に
『ねえ、あれが欲しいわ』 小さな手が指し示す先には、光る粒が詰まった小瓶。なんでも《極光の魔女》の新商品らしい。「こんなの買ってどうするつもりだ」『これがあれば、夜でも傍にいられるじゃない』 光の精は闇の中で存在することが出来ない。裏を返せ…
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SS・甘い星粒
ぽわん、という気の抜けた音とともに、部屋中に広がる甘い香り。「できましたわ~!」 喜びの声を上げる《極光の魔女》。満足げに見つめる大釜の中は何やらキラキラと光っている。「ハル君」「はい?」 振り返った少年の口に、ぽんと放り込まれた小さな粒…
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